秋田県湧き水の名所”六郷湧水群”とは?仙北郡美郷町

秋田県湧き水の名所"六郷湧水群”

秋田県内には「湧き水の名所」がたくさんあります。

そもそも美味しいお米、美味しいお酒は、美味しい水により作られます。

秋田県のお米は「あきたこまち」が有名ですが、実は日本酒も数多くの酒蔵があり、日本酒の賞の受賞率は、実は新潟県よりも高いんです!

そして、秋田県の湧き水で最も有名とも言えるエリアが、秋田県仙北郡美郷町にあります。

その名は「六郷湧水群

この記事では、六郷湧水群の詳細や、その水から作られるサイダー、その水が無限に飲めるゲストハウスなどを紹介していきます!

目次

秋田県美郷町の「六郷湧水群」とは?

秋田県美郷町は奥羽山脈と出羽山地に囲まれた盆地で自然に恵まれた素敵な場所。地形の恩恵により、なんと126カ所もの湧水が確認されています!

その中でも特に注目されるのが、美郷町六郷地区にある「六郷湧水群。町の湧水の半分以上を占める六郷湧水群は「日本名水百選」にも選ばれていて、その豊かさから「百清水(ひゃくしみず)」とも呼ばれていました。

百清水(ひゃくしみず)とも言われる六郷湧水群

「六郷」の名は、アイヌ語の「ルココッツイ(=清い水の場所)」が由来とも言われているそうです。面白いですよね?

湧水の歴史は古く、江戸時代の紀行家・菅江真澄も訪れてその美しさを詠んだ記録が残っています。

六郷湧水群の読み仮名

「六郷湧水群」は「ろくごうゆうすいぐん」と読みます。

六郷湧水群の湧水スポットを4つ紹介

六郷湧水群の各湧水にはユニークな名前が付けられていて、その由来となったストーリーもとっても面白い!ここでは下記の4つの湧水が持つ名前や背景を、それぞれ詳しくご紹介します。

  • ニテコ清水
  • 御台所清水(おだいどころしみず)
  • ハタチや清水
  • 藤清水

ニテコ清水:ニテコサイダーが作られる名泉 

ニテコ清水

六角形の青い柵で囲まれた「ニテコ清水」。六郷の清水を代表するような名泉で、江戸時代の紀行家・菅江真澄も『月の出羽路』の六郷高野の巻きの題名を「似手古の清水」とつけています。

ニテコ清水の名前の由来は、アイヌ語のニタイ(森林)とコツ(水たまり)、つまり「ニタイコツ」(水たまりの低地)からきていると言われているんです!さらに、明治14年に明治天皇が巡幸した際に、この水が「御膳水」として差し上げられたという歴史があります。

その後、大正時代にはこの清水を使用した「ニテコサイダー」が売り出され、いっそうその名が広まりました。今でも隣接する「手づくり工房湧子ちゃん」では、この清水を使った地サイダーが作られています。

御台所清水:地元住民に愛される清水

御台所清水

続いてご紹介するのは「御台所(おだいどころ)清水」。この名前の由来もユニークで、秋田(久保田)藩主・佐竹義隆が鷹狩りでこの地を訪れた際、この湧水を食事作りやお茶水として使ったことから名付けられました。かつては「瓢(ふくべ)清水」とも呼ばれていたようですが、『月の出羽路』に「瓢清水即ち御台所清水也」とあり、今日では「御台所清水」という名前で定着しています。

この清水は涸れることがなく、整備も行き届いているため、地元住民のまさに「台所」として、今でも日常的に利用されているんです!実際に、きゅうりやトマトなどの野菜を冷やしたり、洗ったりする光景が見られます。

さらに、季節によっては、周囲に芝桜や紫陽花が咲き誇るため、散策の際は絶対見逃せない清水スポットです!

ハタチや清水:涼しさと地元のエピソードが交錯する清水

ハタチや清水

地酒を取り扱う「ハタチや酒店」の敷地内にコンコンと湧く「ハタチや清水」。店名からそのまま名付けられたそうです。

この清水の水温は、飲料を冷やすために最適な温度とされていて、夏場には、お店で販売されるお酒やニテコサイダー、スイカなどがここで冷やされているんです!横には白い椅子とテーブルが置かれ、まるでオシャレなテラスのよう。底は細かい砂で覆われ、透明で美しい水が流れています。

店内には、絶滅危惧種に指定されているハリザッコ(イバラトミヨ)が飼育されています。ちなみに、お店の方が語る「スイカ事件」は必聴エピソードです!

藤清水:藤の花が咲き誇る歴史と自然が融合する清水

藤清水

諏訪神社の隣にひっそりと佇む「藤清水」。この場所はかつて、佐尾久右衛門の別荘があり、佐尾氏の蔵が3つあったことから「三倉清水」とも言われていました。

今では、周囲にある藤棚の藤の花が美しく咲くことから「藤清水」と呼ばれています。特に藤の花が咲く5月ごろは、絶対に見逃せません! 清水の周りは、まるで時間が止まったかのような気分にさせてくれる透き通った石畳の道になっています。

藤清水の周辺にある藤棚

ここでご紹介している六郷湧水群はほんの一部!

実際に散策しながら、もっと深く知りたい人におすすめなのが『美郷町ネイチャーガイド』サービスです!美郷町観光情報センターに問い合わせ・申し込みをすると、美郷町認定の地元ガイドが『安全に』『楽しく』『わかりやすく』美郷町の自然を案内してくれます。

六郷湧水群に棲む絶滅危惧種「ハリザッコ

ハリザッコは清らかな水にのみ生息する

六郷湧水群は、清らかな水が流れる美しい場所。そして、そこには「ハリザッコ」と呼ばれる小さな魚が棲んでいます。

北海道から新潟にかけて生息しているハリザッコですが、中でも秋田県の雄物川水系を中心に生息する「イバラトミヨ雄物型(正式名称)」は、環境省や秋田県から絶滅危惧種に指定されているほど希少な存在なんです!体長は約5cmと小さく、背びれにある小さなとげが特徴的で、地元民からの愛称「ハリザッコ」の由来となっています。

ハリザッコは15℃の冷水を好むため、六郷湧水群のきれいな水はまさに理想的な住処です。ただ、なかなかその姿を見せてくれません。見てみたい!という人におすすめなのが「名水市場 湧太郎」。施設内にある水文館で、水槽を通してその可愛らしい姿を観察することができます。

地元の小中学校にはハリザッコを飼育するための池があり、生徒たちは理科の授業などでその生態を学んでいます。特に、美郷中学校の総合科学部ではより深い研究が行われているとか…。

もし運が良ければ、六郷湧水群の清水で「ハリザッコ」に出会えるチャンスも。湧水群を訪れた際には、ぜひじっくりとその姿を探してみてください!

六郷湧水群の名水認定

六郷湧水群は様々な名水に認定されている

六郷湧水群は、その高い水質や町の保全活動が認められ、数々の名水認定を受けています。

  • 昭和60年 環境庁の「名水百選」
    • 「名水百選」は、全国の清澄な水を再発見し、国民の水質保全に対する認識を深めるために環境省(環境庁)が選定。平成20年には「平成の名水百選」として追加選定され、合計200選となりました。他にも、秋田県湯沢市の「力水」が認定されています。
  • 平成 7 年 国土庁の「水の里百選」
    • 「水の里百選」は、国交省が認定した水環境保全と地域づくりを推進する地域のことです。地域固有の歴史・文化と優れた水環境の保全・活用に取り組んでいます。選定基準は水環境の保全や利活用の適正性、特色ある歴史・文化、水源涵養や水質保全などです。
  • 林野庁の「水源の森百選」
    • 林野庁が選定した「水源の森百選」は、森林の重要性を紹介し理解を深めるための取り組みです。これらの森林は水を通じて森林と人との理想的な関係が形成されており、森林保護や水と関連した施設の整備など、森林所有者や地域住民の努力によって維持されています。
  • 平成12年 建設大臣の「甦る水百選」
    • 「甦る水百選」では、快適な生活と水環境保全に欠かせない下水道の重要性を啓発するため、下水道が水環境の保全回復に果たしている優れた事例を取り上げました。六郷では湧水量低下が課題でしたが、真空方式の管渠整備により、地下水・水質保全を実現しました。
  • 平成14年 読売新聞社「遊歩百選」
    • 「遊歩百選」は、読売新聞の50周年記念事業として、市民投票と選考委員会により選ばれた風光明媚な歩道を持つ地域の百選です。「健康・環境・観光」をキーワードに、将来も広く国民に利用されることを願い選定されています。

美郷町六郷のお水が飲める民泊/ゲストハウス

ミロクハウスの外観

秋田県仙北郡美郷町にある「ミロクハウス」では、水道の蛇口を捻れば、美味しい天然水を飲むことができます。

水道から出るお水なので、無限に天然水が出てきます!

宿泊される際は、ペットボトルのミネラルウォーターと、ミロクハウスの天然水道水をぜひ比較してみてください!

美郷町の天然水は透き通って柔らかく、甘みをも感じ、その美味しさは、飲んだ方のほとんどが感動されるほどです。

六郷湧水群の採水地は?名水の水汲みスポット

名水スポットの紹介

せっかくならこの名水を飲んでみたくありませんか?

美郷町内の湧水を自ら汲むことができるスポットをご紹介します。

観光休憩所 清水の館

観光休憩所 清水の館

この施設は誰でも無料で利用できる休憩所です。敷地内には専用の水汲み場が設けられ、持参したコップやペットボトルで手軽に名水を汲むことができます。水質と味には定評があり、多くの人々が定期的に水を汲みに訪れているほど!

ただし、この場で米を洗ったり、野菜を洗うような行為は禁止されているため、必ず容器を持参してください。周辺には「御台所清水」や「久米清水」など、他の湧水スポットも点在しているので、湧水散策の途中で立ち寄ることがおすすめ!特に夏場は、熱中症予防にもぴったりです。

名水市場湧太郎 

名水市場湧太郎

元々は酒蔵だったこの建物が、リノベーションを経て観光複合施設「名水市場湧太郎」となりました。内部には美味しい料理を提供するレストランや、美郷町特産の商品を販売するショップ、そして六郷湧水群やハリザッコについて学べる「水文館」があります。

施設の入口付近に、水汲み場が設けられ、訪れた人々は無料で「酒仕込み水」を汲むことができます。 

湧き水が溢れる場所

まとめ

秋田県仙北郡美郷町の湧き水について、いかがでしたでしょうか?

名水百選に認定された六郷湧水群、そのお水を使ったニテコサイダーなど魅力的なものがたくさん!

ミロクハウスでは実際にその天然水を飲むことができます!透き通ったお水の美味しさはとても感動しますよ。

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この記事を書いた人

萩とおる(小熊九太朗)のアバター 萩とおる(小熊九太朗) ミロクハウスオーナー

東京生まれ東京育ち、先祖代々3代以上東京出身の生粋の江戸っ子だが、
秋田育ちの妻と共に、コロナパンデミックをきっかけに、秋田に移住し、ミロクハウスを運営する。移住のきっかけは、ダントツに美味しい秋田のお米と食材の豊かさ、そして美しい大自然に魅せられて、ミロクハウスを拠点に、愛車で東北のいにしえの歴史をめぐるのが楽しみ。風水・易・九星気学など、東洋占術のプロでもある。

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